データエンハンサーの戯言置き場

データサイエンティストを挫折した人がデータとアナリシスのエンハンスメントについて考える

はじめての方へ

このページは初めての方に向けた自己紹介とその他諸々のページです。よしなに。




自己紹介

某インターネット企業にてデータアナリストを経てデータサイエンティストになれず、データエンハンサー(自称)、アナリシスエンハンサー(自称)をやっております。 ブログの内容は個人の意見・見解であり、所属組織の意見・見解とは異なる事があります。




データエンハンサーとは

自称です。

lucies.hatenablog.com




↓それでは最新記事をどうぞ↓



プロジェクトマネージャーのフリをしたチェックリストマネージャー

久しぶりにアート・オブ・プロジェクトマネジメントを読んでいて、もう本当にこれこれこれだよ!っていうところがあったのですよ。

 

アート・オブ・プロジェクトマネジメント ―マイクロソフトで培われた実践手法 (THEORY/IN/PRACTICE)

アート・オブ・プロジェクトマネジメント ―マイクロソフトで培われた実践手法 (THEORY/IN/PRACTICE)

 

ある日、彼(上司)は私の部屋に入り、室内のすべての壁に貼られた、滑稽なほど巨大なチェックリストと表を見た後、私を座らせてドアを閉めました。そして、「スコット君、こういったものも悪くないが、君のプロジェクトってーのは君のチームそのものなんだよ。チェックリストではなくチームをマネジメントするんだ。そのチェックリストがチームのマネジメントに役立つのであれば、それは素晴らしいことだ。しかし、君のやり方ではすぐにチェックリストのマネジメントをするために君のチームを使うことになるだろう」と言ったのです。

 

これは結構、SIer的なプロジェクトマネージャーにすごく多いと感じているのだけれど、彼らはプロジェクトマネジメントをするための組織を作り、プロジェクトの全体を見てチェックリストを作り、進捗管理をひたすらやりたがる。

 

上記の引用は"プロセスと目標を取り違える"という章に書いてあって。チェックリストとかガントチャートを作るのはそれ自体が悪いことでは無いのだけれど、チェックリストを埋めること自体が目的になってしまっていることは多々あるのだよね。

 

以前の組織であったのだけれど、営業系の組織だったので、「クライアントへの提案件数」を目標にして、提案を何件したか、というチェックリストみたいな管理をしていたんですよね。そのチームは確かに、提案件数という目標は達成するために奮闘していたし、実際に達成できていた。

 

けど、中身を見るとひどいもので、理屈がめちゃくちゃの提案書がゴロゴロ出てくるわけです。明らかに間違った分析、営業秘密情報、コピペにコピペを重ねた雑な提案が大量にあるんですよね。

 

わかりやすい数値目標を立てて、クライアントの名前を並べてチェックリスト化して、それを埋めるだけのマネジメントになってしまっていた。果たしてそれで目標は達成できたとしても仕事が成功したと言えるのかどうかと。

 

目標管理が間違っていたという話も当然あるのだけれど、それと同時に、マネージャーの業務というものを過少に見積もっているのではないかと思うのだよね。マネジメントって、もっと複雑で泥臭くて成功方法なんてひとつもなくて、時と場合に応じて有機的に常に考え直さないといけないものだと思うのだけれど。

 

チェックリストマネージャーは、チェックリストを順番にこなすだけになってしまって本質を見失ってしまう。もちろんチェックリストやガントチャートが悪いわけではなくて、そういったツールは手段に過ぎないので、それらをなんのために使っているのか、というのが重要なんですよね。

 

チェックリストを埋める、という作業は、多分めちゃくちゃ達成感あるんですよ。ゲーミフィケーション的にもよく使われる手法だし。どんどん埋まっていくと多分めちゃくちゃ仕事した感出るんですよね。でも、なんのためにチェックリストを埋めているのか、というのを忘れると、気づいた人から嫌気が差して離れていくと言う状況が生まれる。

 

あれですよ、そういう本質に気づかない無能ばっかの組織をマネジメントするにはめちゃくちゃ有効です。あとはリソース管理だったり、優先度付けみたいな事をするときには有効。人月仕事とかには必須ですね。けど、そういう運用抜きに上から順にやっていきましょう、になったらアウト、それはチェックリストマネージャーです。

 

逆に、クリエイティビティの高い仕事には圧倒的に向かないんですよね。「アイデアを出す」とかってチェックリストに書くの馬鹿じゃないですか。そういうもんじゃない。

 

ということで、チェックリストマネージャー相手にするときは、そもそも何を目的にチェックリスト作ってるんですかね、というのは日々突っ込んでいかないといけないですね。「管理」って答えが返ってきたらなんのために何を管理してるんですかねって突っ込もう。

 

ということでアート・オブ・プロジェクトマネジメントも、読むたびに発見がある良い本ですね、という話。