データエンハンサーの戯言置き場

データサイエンティストを挫折した人がデータとアナリシスのエンハンスメントについて考える

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自己紹介

某インターネット企業にてデータアナリストを経てデータサイエンティストになれず、データエンハンサー(自称)、アナリシスエンハンサー(自称)をやっております。 ブログの内容は個人の意見・見解であり、所属組織の意見・見解とは異なる事があります。




データエンハンサーとは

自称です。

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↓それでは最新記事をどうぞ↓



ジョブ型採用みたいな言葉があるけどジョブを定義するのが一番むずかしいんじゃって話

最近は採用周りをちょくちょく頑張っているのでそのお話。

 

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導入

ジョブ型雇用、みたいな言葉があるじゃないですか。どうも、コロナ後の世界でリモートワークが普及して、しきりにジョブ型採用だ!っていう言葉が言われてる感じがします。

どうやら3度目のジョブ型移行ブームらしいです。我々は過去に2度のジョブ型移行をしてきたらしい。できてるのか知らんけど。

www.itmedia.co.jp

で、なんかこの記事にタイトルを真っ向否定されちゃったんだけど、どうも中を読んでると「ジョブを定義するだけじゃ足らん」って言う意味だと理解したので続けます。

 

記事によると、ジョブを定義するだけじゃなくて政治を巻き込んだエコシステムを作っていくことが大事だっていう大きな話になっている。のだけど現実問題としてそこまではできないので、とりあえず出来ることから考えてみる、という話。

 

ジョブディスクリプションとは何か

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冒頭の図に戻るんだけど、ジョブ型雇用とかエコシステムとかって話は抜きにして、ジョブを定義してそのジョブに人をアサインする、という事を考えてみる。

最近はこのジョブディスクリプションを書く、というタイプの仕事を結構やってるんだけど、これがめちゃくちゃ難しい。下の記事によると、ジョブディスクリプションというのは

「ジョブ・ディスクリプション(job description)」とは、職務の内容を詳しく記述した文書のこと。日本語では職務記述書と訳されています。

ジョブ・ディスクリプションとは | 人事用語集・辞典 | 人事のプロを支援するHRプロ

だそうです。

ジョブ・ディスクリプションに記載される代表的な項目は、職務のポジション名、目的、責任、内容と範囲、求められるスキルや技能、資格など。特に職務内容と範囲については、どのような業務をどのように、どの範囲まで行うかといったところまで詳細に記述されます。

 

ジョブディスクリプションを書くという難しさ

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これ、書いてみればわかるんだけど、責任とか内容とか範囲とかスキルとか技能とか書いていくと結構しんどい。

 

そもそもでいうと、業務の内容とか責任範囲とかっていうのは、その業務を行う事により目指すべき姿が明確に定義されていないと難しい。上の図で言うゴールの明確化、の部分。

例えばスーパーのレジ打ちみたいな、ある程度同じ業務を行う人を大量に採用して画一的な仕事を求める分には良いのだけれど、これが少数の知的生産者になっていくとどんどん定義が難しくなる。

この"業務を行うことにより目指すべき姿、というのは、組織の戦略や大方針、ビジョンなんかにも依ってくる。戦略というのは"リソースの配分を決めることだ"っていうのは音部氏の言葉だけれど、人材の採用は組織の根幹のリソースである人材を変えるという話である。 

言い換えると、どういう人材を採用出来るかで戦略自体も変わってくる可能性がある、という話でもある。

どういう人材を得られそうか、というのを考えながら戦略を立て、ジョブディスクリプションへと落とし込んでいく作業が必要になるが、人材確保という中長期的でかつ不確実性の高いところで戦略を立てる、という事自体がかなり難度の高い業務でもある。

 

ジョブディスクリプションを上手く書けないと候補者とマッチングしない

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ジョブディスクリプションを難しくしているのが、上記戦略に依存するという話もあるのだけれど、もう一つ、候補者とのマッチングという視点がある。

実際に採用活動をする上では、企業がジョブディスクリプションを提示し、候補者(あるいは転職エージェントとか)がそれを見て自分ごと化する、というプロセスが発生する。

ジョブディスクリプションを具体的にすればするほど、自分と遠い職務のように感じてしまって自分ごと化が難しい。一方で抽象的過ぎても自分が必要とされているかわからないのでこれも自分ごと化しにくい。

 

この中間の「いい塩梅」のジョブディスクリプション、というのはすごく難しい。(現実的には転職エージェントにお世話になってたりする)本来的には、採用側も面接面談の経験値を積みながらいい塩梅を調整していきたいところではあるのだけれど、現実的にはそんなに人数を何人も採用できない職種というのもあって、そういうところではほぼ経験値を積むのが不可能になってしまう。

 

結果的に、採用がうまくいかないか、採用できてもなかなか活躍が見られないという、双方にとっての不幸が生まれてしまう。

 

専門職だと更に困難になる

これが専門職になると更に困難になる。というのも、戦略をベースに人材を定義するという話をしたけれど、戦略を立てるひとが専門人材を理解をしていないと戦略に組み込まれない

 

象徴的なのはポスドク問題で、多くの博士は高い専門性を持っているが、一方でその専門性故に理解が困難であって、戦略を作る側に一定の理解力が求められる。専門性を理解した上でその専門性を活かす仕事や戦略を作るということ自体、凄まじく難度が高い

 

日本において修士・博士のような専門人材の雇用状況が芳しくないのはよく言われることだけど、そもそも他人の専門性を理解するためには、本人自身がある程度何かを追究した専門家でないとなかなか理解ができないのかもしれない。

www.asahi.com

 

結果として、ハイスキルな高い専門性を持った人ほど仕事が見つからなくなるというねじれが生じてしまう。

 

 

環境が変われば必要なジョブも変わる

更に面倒なのが、ジョブディスクリプションというのは常に一定というわけではない、という事。戦略というのは競争環境にかなり依存するものなので、競合が新商品を出すだけで自社に必要な人材が変わっちゃったりする。

 

ガソリン車を作るためには燃焼工学あたりの知識が重要だが、電気自動車を作るためには電気工学の知識が必要。高い専門性が必要な仕事というのは、習得が困難でもあるので突然エンジンの仕事から電池の仕事に移ります、っていうわけにはいかない。windowsエンジニアがandroidエンジニアとして成果が出せるようになるまではそれなりの学習コストがかかる。

 

こうやって市場環境の変化によって戦略の変更を余儀なくされるというのはよくあることであって、当然戦略が変更されると必要なジョブも変わるのだけれど、一度雇った専門家を解雇するのは結構(特に日本においては)難しい。し、上記のように別職種からコンバートするのも難しい。

 

しかも戦略に基づいて実行が無事に終わったらそこでお役御免、となっちゃうケースも存在する。

 

大抵の場合、ジョブディスクリプションを定義して募集をかけて何度かの面接をして内定して業務開始まで、というのはどれだけ短くても3ヵ月、ながければ1年とかっていう単位でかかる。この間にも競争環境は動くので、この競争環境の変化に対して頑健性の高いジョブディスクリプションを定義する必要がある。

 

そりゃあ全部業務委託に任せちゃえ、ってなりますわな。

 

 

まとめ

ということで、バラバラと書いたけど、ジョブを定義するためには

  • 前提として高度な戦略策定が必要
  • その上で候補者とのマッチングしやすいジョブ定義が必要
  • 専門人材のジョブ定義は定義する側の理解が必要
  • 変化に強いジョブ定義が必要

ということで採用する側のスキル超必要だなっていう話。がんばりたい。

 

 

 

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