データエンハンサーの戯言置き場

データサイエンティストを挫折した人がデータとアナリシスのエンハンスメントについて考える

はじめての方へ

このページは初めての方に向けた自己紹介とその他諸々のページです。よしなに。




自己紹介

某インターネット企業にてデータアナリストを経てデータサイエンティストになれず、データエンハンサー(自称)、アナリシスエンハンサー(自称)をやっております。 ブログの内容は個人の意見・見解であり、所属組織の意見・見解とは異なる事があります。




データエンハンサーとは

自称です。

lucies.hatenablog.com




↓それでは最新記事をどうぞ↓



変化しない事に合わせて、変化を生み出す

はいポエムです。 

 

 

導入

以前、上司と1on1してるときに会話になったのだけれど、

 

上司「どうやってニュースとかの情報収集してる?」

私「あんまり最近ちゃんとやってないんですよね、どうせ情報集めたところで数年で変わるものばっかで。むしろ書籍とかのほうがある程度まとまってるのでそっちが中心です」

上司「なるほど。ジェフ・ベゾスが『何が変化するかじゃなくて、何が変化しないかが大事』って言ってたけど、そういう事なのかもね」

 

みたいな会話を(うろ覚えですが)したことがある。

japan.zdnet.com

検索してみたらあっさり見つかった。 

ということで今日は変化するものとしないものとそういう話。

 

 

変化しないものとは何か

話は飛ぶんだけど、私は結構心理学とか脳科学とか行動経済学みたいな、人間の本能と行動を解き明かすための学問というのが結構好きで。マーケの仕事をはじめてからも、マネージャーになってからも、こういう人間の本能的な行動に基づいて思考回路を整理していくのが癖になってるところがある。

 

人類の歴史を紐解いていくと、どうやら現生人類というのは20万年くらい前には概ね完成されて、この20万年進化していないらしい。(wikipedia調べ)

ホモ・サピエンス - Wikipedia

20万年進化していなかった人間を相手に商売や何かをする以上、この本能的な行動原理に基づいて整理された知識というのは100年後にも1000年後にも使えると思っている。

 

「消費者理解とは、人間の本能と行動の相関を解き明かすこと」というのは、USJのマーケで有名な刀の森岡さんの言葉だけれど、マーケの世界も突き詰めて考えていくと本能的な行動原理にまで落とし込まれていく。

agenda-note.com

(だからこそマーケティングが洗脳にならないように気をつけないといけないんだけどそれはまた別の話)

 

物理現象や数学のようなものは仮に人類が滅んだとしても変化しない事であって、たとえば光の速度は100億年前から秒速30万kmで変わっていないし、万有引力の法則もこの宇宙がある限りは変わらない。円周率に至っては仮に宇宙が消滅したとしても3.14...から変わらないものなのだと思う。

 

ここまで原始的でなくても数百年-数千年単位で変化しないであろうことはあって、たとえば人類の経済活動なんかがそう。冒頭のジェフ・ベゾスの言葉でいうと、「顧客はいつになっても低価格、迅速な配達、幅広い品ぞろえを求める」。

 

貨幣経済がいつまで続くかはわからないけど、おそらくお金かそれに準じる何かで価値の取引をする、というのは古来から人類が行ってきたことである。人類最古の職業は娼婦とか傭兵とか呪術師とか色々な説があるが、いずれにせよ何らかの価値の交換が行われている。

 

変化を生み出すということ

仕事とは変化を生み出すことだ、っていうのはイシューからはじめよで有名な安宅さんの言葉だけれど。

ヤフー安宅氏 無駄な努力をしない社会に1|日テレNEWS24

 

 何が変わらないのかを重視しながら変化を起こしていく、というのは個人的には仕事をする上でよく考えているポイントだったりする。

 

私は好んでEnhanceという言葉を使うし、このブログというか、自身の肩書にもつけているんだけれど。Enhanceというのは「不可逆な変化」だと思っている。不可逆な変化を起こすというのは、端的に言えば今までよりも便利になる、とか、今までよりも本能が満たされるときに人間は不可逆な変化を起こす

 

一度手にしたテクノロジーが手放せなくなるのは以前よりも便利になっていたり、より根源的な本能が満たされるからである。こういった変化を起こすのはそんなに難しいことではなくて、昨日より便利な知識が増えるとか、昨日より使える道具が増えるとか、そういった事を積み重ねていくとそれが大きな変化になっていく。

 

重要なのは、それが「便利である」とか「楽しいものである」というのを人間の本能に認識させることであって、それがなければ変化が起きない。私がよく失敗するのだけれど、便利な道具をそこに置いておいても駄目で、それを使うとこんなに良いことができるんだ、っていう学習をすることで初めて"変化"になる。

 

この変化が、変わらないものを満たすために存在するのであればきっとそれはただの変化ではなく、「不可逆な」変化になるりうるのだと思う。

 

まとめ

ということで後半まとまらなくてポエム感強くなってしまったのだけれど。変化しない事を突き詰めていくと変化を起こすための方法が見えてくるのではないかと思う所存。

 

「歴史は繰り返す」というけれども、歴史が繰り返すのってあんまり人間自体が進化していないからだと思うんですよね。その場その時代で取り巻く環境は違うと思うのだけれど、根源的な変化しない部分っていうのはあると思うんですよ。

 

ということで、あんまり日々のニュースとか情報の洪水に溺れるよりは、古典とか読んで変わらないものを突き詰めて生きる方がきっと楽で役に立つ気がする今日このごろです。

 

 

 

twitter.com

100年前からデータドリブンな経営を研究する経営工学という学問の話

いつもよりちょっとポエム感薄めだけどポエムです

 

 戦略・策略のイラスト(男性)

 

導入

データサイエンスブーム以降、ちょくちょく話に聞く「データドリブン経営」という言葉がある。2019年にはハーバード・ビジネス・レビューが特集を組んでたりとか、ちょいちょいバズワード化していた感のある言葉である。

 昨今のDXブームと、ちょっと前のAIブームと混ざってよくわからない言葉になりつつあるこのデータドリブンな経営。今でもデータサイエンス界隈では「データに基づく意思決定」みたいな言葉がしきりに言われるけれど。なんとなく、元経営工学徒的には違和感のあるムーブメントだったりする。

 

別に否定する気は無いし、私以外の経営工学出身者がどう思うかも知らないけれど、こういう「経営において(データを用いて)科学的/数理的/工学的に意思決定をする」というのは何も新しいことではない。

 

どうも、ちょっと前まではデータサイエンス=情報工学屋のモノだったのが、ここ最近になって経営工学屋がデータサイエンスをツールとして用いるようになったのではないか、という気がする。実際、弊社弊部の直近の中途採用を見ると、情報工学系出身者よりも経営工学系出身者の方が"ビジネスに成果を出す"という意思の強さを感じる。

 

ということで、今日は経営工学という学問をちょっと紹介しようと思うよ。

 

経営"工学"とは

意外と理系の人にも知られてないけど、経営課題を工学的なアプローチで解決するための学問。一般的に経営学の方が間口が広くて、大学にも「経営学部」とか「商学部」みたいな学部が存在するけれども、これらは"文系"に括られることが多い。

 

これに対して、経営工学は"工学"なので、理系に括られる。こないだも理系の人に「え、経営工学って理系ですか?」って聞かれたけど理系です。工学とは何かっていうのもまた難しい定義だけれど

 基礎科学である数学・化学・物理学などを工業生産に応用する学問

 工学 - Wikipedia

だそうです。まあこの手の定義は明確な仕切りがあるわけじゃないし突き詰めると沼が深いので、とりあえずは「数字で解決する」くらいのイメージで良かろう。

 

大学の授業のレベルでいうと、経営学(MBA)と共通の部分は多いのだけれど、経営学フレームワークの学習とケーススタディが中心なのに対し、経営工学は実験(とは言ってもシミュレーションだけど)と統計的な分析が多いのが違うところだろうか。あんま授業の内容とか覚えてないけど。

 

対象領域もたくさんあるけど、わかりやすいところで言うと工場の効率化だったり、物流の効率化だったり、モノづくりの品質管理だったり。マーケティングとか金融分野なんかも対象で、まあ大抵どの業界でもおおよそ"会社"っていうものは対象になっている。

 

私の学生時代の専攻は(多品種少量生産の)工場の効率化。他に同じ研究室には生産拠点の立て方だったり、新製品開発だったり、医療現場の効率化だったり、介護施設の効率化だったりを研究してる人がいた感じ。

 

となりの研究室行くとマーケティングだったりライフサイクルマネジメントだったりリスクマネジメントだったり。面白いのだと食品開発のための味覚研究なんかしてる人もいた気がする。

 

大学でいうと、東大のシステム創成とかがそうらしいけど、有名なのは東工大の経営工学とか、慶応の管理工学(今は違う名前になったらしい)とかだろうか。

 

経営工学の歴史

タイトルの通り、この経営工学って分野は実は100年以上前から存在している。その歴史はたいていフレデリック・テイラーの科学的管理法が元祖として語られる。 まあ読んだことないけど貼っておく。1911年の出版。

|新訳|科学的管理法

|新訳|科学的管理法

 

彼がやったのが、まさに今のデータドリブンな経営の元祖で、ストップウォッチで時間を測りながら仕事の早い優秀な作業員を分析し、その人に基づいて作業を標準化する、というやり方。当然、当時の技術的には自動でデータを取得することは簡単ではなかったので、手作業で時間を記録して計算していた。

 

実はマネジメントといったらドラッカーの方が圧倒的に有名だけれど、その元祖はテイラーだと言われている。経営の世界ではバッハみたいな存在だ。

 

このテイラーと一緒に経営管理の研究をしていたのが、みんな大好きガントチャートで有名なガントさん。

ガントチャート - Wikipedia

ガントチャート - Wikipedia

ガントチャートだって、予定をデータ化してそれに基づいて作業を最適化していくっていう、データドリブンな管理ですよね。

 

最近はIT屋さんたちがこぞって「データドリブンだ!」って言うからまるで新しい概念のように聞こえるけど、基本は100年前からあんまり変わっていない。細かい手法の話は色々あるので言わないけれども、トヨタだってコマツだって、何十年も前からデータドリブンな経営をしている。

 

経営工学とデータサイエンスの融合

最近の事情をそんなに知っているわけではないのだけれど。どうも最近はIT業界のデータサイエンス領域に経営工学徒が増えてるような気がする(私調べ)。冒頭にもちょっと触れた通り、ここ数ヶ月で何人か面接面談をしていたり、中途採用に関わっているのだけれど、かなり経営工学徒によく会う。

 

私が学生だったころはIT業界はそこまで人気ではなくて、結構異端的な扱いを受けていたんだけれど(まあ工場の研究してたから余計にだけど)。私が入社した当時、データサイエンス系の部署に30人新卒が配属されて、経営工学系は2人だけだった。それがここ数ヶ月中途採用は半分が経営工学系。

 

以前、大学の研究室の助教に会いに行ったときに聞いた話だと、ロジスティクスディープラーニング的なアプローチで研究を進めていると言っていた。

 

元々データサイエンスというか、機械学習というのは数学屋と情報工学屋の基礎研究に近かったのが、ここ数年で一気に実務利用が増えて実務に近い分野に広がっているんだろうなあというのを感じる。

 

2013年の入社当時は結構カルチャーショックで、「自分たちが大学院でやっていた研究はなんて遅れてたんだろう」って思ったものだけれども、どうやらここ数年で様変わりしているのかもしれない。

 

まとめ

今はDXとAIとデータドリブンとかがごっちゃになっててよくわからない領域になっちゃったIT周りだけれども。おそらく機械学習やAIといった道具を元に経営や管理を効率化していくという学問自体は変わらず進歩していくのだと思う。

 

ちなみに"経営工学"の大学院は社会人でも結構受け入れてるのでちゃんと学び直そうと思ったらMBAと並んで選択肢に入れてみると良いと思うよ。しんどかったので自分はもういいです。

 

ということでこの分野は深堀りしてみると中々面白いと思いますという話でした。

 

 

 

経営工学に通いながらも授業の大半を寝て過ごしたアカウントはこちら

twitter.com

ちょっとストイックになるくらいが楽に生きられる

前回の記事の続きみたいな話ですが別に前回の記事読まなくても良いです。

トレーニングマシンで筋トレをする男性のイラスト

導入

マネージャーという立場になってから、数年経つけど、結構いろんなメンバーと話してきたし、採用の面接面談みたいなことも結構やってきました。若い人は特に、みんな口々に"○○を学びたいんです!"っていう言葉を結構発する。メンバーも、採用の候補者もみんな言う。

 

けど、実際に何かを学んでいる人ってすごく少ない。いろんなバイアスがかかるから何%、とかは言えないけど、弊社の技術職ですら日常的に学んでいる人ていうのは体感で半分には到底追いつかないくらい。

 

私はたぶん、周りからすごく勉強するストイックな人間だと思われているんだけど。実際は、ストイックに学べない事自体がコンプレックスだったので結構いろんな工夫をしてストイックっぽく見せる手法というのを身に着けてきている。

 

この、ストイックになるというか、「努力を習慣化する」というのは意思決定をかなり楽にする=MP消費を抑える効果があるので、生きるのが結構楽になるなって思っているのでそういう話。

 

ストイックとは

ストイックとは何か、を辞書的に言うと

自身厳しく律し、禁欲的に己を持する、という意味

ストイックとは何? Weblio辞書

らしいです。この辞書にもある通り、

自分定め基準厳守して行動する

こと、と。

 

禁欲的、という言葉が結構強いんだけど、そこまでいかなくても、「自分で決めてそのとおり行動する」程度のものだとこの記事では考えてます。たぶん、ただ行動するのではなく、「日常的に」というのがポイントになりそうな気はしています。

 

意思決定にはMPを使う

前回の記事にも書いたとおりだけれど、意思決定にはエネルギーを使う。これは日々の生活の些細な意思決定でもそれなりにストレスがかかるから、ジョブズは毎日同じ服を着ていた、というのは前回も引用した話。

 

スティーブ・ジョブズは、なぜ毎日同じ服を着るのか?という話 | トレマガ | FCEトレーニング・カンパニー

 

この意思決定にエネルギーを使う場面は日常的にも結構多くて、「今日空いた時間に何をするか」を決めるのすらもエネルギーがかかる。「よし、今から勉強を始めるぞ!」っていうのはすごくエネルギーのかかる活動なので、中々実行に移せなかったりする。

 

よく言われるのは、「一度始めちゃえば結局長く続く」っていう話。たとえばランニングを始めるときには「5分だけ」とか、「とりあえず靴を履くのを目標に」とかすると、靴を履いたタイミングで、「せっかく靴履いたし走りに行くか・・・」と、結局長時間走ってしまったりする。

www.countand1.com

 

この最初のちょっと、すごく低いハードルのことを"ベイビーステップ"と言うらしいが、実際にはこの最初のちょっとにはすごく「意思決定のエネルギー」を使うので、結局この最初の一歩すら踏み出せない事は多い。

 

物理の世界でいう慣性の法則みたいなイメージで、自転車を漕ぎ始めるのはすごくエネルギーを使うけどスピードがのってくると漕ぐのが楽になる、みたいな話。

 

意思決定のストレスと満たされないストレスの二重苦

多くの人が、(建前かもしれないけど)○○を勉強したい、とか身につけたいとかっていうけど実際は行動できない、っていうのは冒頭でも書いたけれど。「自分一人では勉強できないけど、周囲が企画してくれる勉強会にはよく参加する」とかって人は多い。

 

こういう人の「勉強したい」っていう気持ちは、「勉強しないとどこかで自らが不幸になるのでは」っていう不安から来ているケースも多くて、適切に学習する機会を作らないと不安が増大していく。勉強しないこと自体がストレスになっちゃう。けど誰かが勉強を強制してくれないと

 

一方で、何かをしよう、と思って行動するのもストレスがかかるので、やってもやらなくてもストレスがかかるという八方塞がり状態。こういう状態の人は結構多い。

 

 

習慣化による脱却

これを脱却するのが、習慣化である。

 前回も紹介した習慣化研究所のツイートがわかりやすい

 

失敗する習慣化というのは、たとえば「1日に1時間だけ勉強する」とかいう方法。これだと、他の用事をやっているうちにいつの間にか余裕のある1時間なんてものがとれなくなってダラダラしてるうちにその1時間が消え去ってしまう。

画像

習慣化研究所のツイートにもあるように、あらかじめ、「トリガー」となる実行条件を決めることと、「何をやるか」を先に決め、やったら記録をつける。重要なのは何をするかではなく、何かをするためにどういう習慣を作るかである。

 

私の場合は、「暇ができたら」「やりたいことリストに入ってるものを何も考えず上から順に」「実施したら記録を残し今日やったことをリストの一番下におくる」みたいなルールを決めて実施してる(厳密にはもっと細かいルール決めてるけど)

 

 

あと、個人的にうまくいっているのが、「趣味」にも同様の記録をつけて趣味の方こそストイックにやる、ということ。私の場合は、読む漫画買う漫画をすべてリストアップして上から順に読んだり買ったりする、という事をしている。今リストに2万冊くらいある。

 

これをやることの一番のメリットは、ついついダラダラやってしまうことをスパッと終わらせられる事。タイマーを1時間かけて、1時間のうちでリストの上から漫画読む、っていうことをしている。すると、このタイマーが鳴る瞬間が次の行動のためのトリガーになる。

 

まとめ

ということで、努力を習慣化してストイックに生きることで、

  • 定期的に努力をする生活が身につくので不安が減る
  • 日々の生活における意思決定が少なくて済むのでストレスが減る

という、大きなメリットがある。結果的に何かの能力が身に付くし、趣味の方までストイックにできるのでかなり密度の高い生活を送れるようになり、人生自体が充実していく。QoL爆上がり。おためしあれ。

 

今日はこのくらいです。

 

 

 

QoL高めのアカウントはこちら

twitter.com