【読書記録】データドリブンマーケティング
ちょっと前に読んだやつ。
データ・ドリブン・マーケティング―――最低限知っておくべき15の指標
- 作者: マーク・ジェフリー,佐藤純,矢倉純之介,内田彩香
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2017/04/20
- メディア: 単行本
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本のタイトル的に、デジタルマーケの話なのかな、と思って読んでみたんだけど、そういうわけでもなかった。
一言で言うなら、「科学的マーケティングの教科書」。マーケの世界でもデータがどうとか言われて久しいけれども。意外とデータデータ言う割にはきちっと整理して理解している人は少ない。そういう中で、「データ」というときに何から始めればいいのか、というのが整理されている。
この本の良いところは、教科書的なところにあると思っている。一般的によくある組織課題から入り、マーケティングを効率的に行っていく際の指標、方法論が事例を交えて書かれているので、わかりやすさもあり。
一方で微妙なのは、この業界がここ5年で様変わりしすぎちゃって若干古くなっている事。原著の方は2010年初版なので。とはいえ、別にこれらの指標を見る必要がなくなったわけではないので、読む価値はあるかな。
どちらかというと、やれビッグデータだのAIだの騒ぎ立てる前に、このレベルの事ちゃんと出来てる?という事を確認する意味で一度目を通したほうが良さそう。流行り物に飛びつく前に、やるべきことをちゃんとやって体力をつける事は必要だよね。
マーケに関わる人間なら、読んでおいて損は無いと思う一冊でした。
なぜ失敗を許さない組織がダメになるのか。
多分ブログには書いてないんだけど、10月以降、某ザ・古き良き日本企業とがっつり組んで仕事をしております。そこで色々、自社とは違う文化、組織を目にして来て色々と気づきはあるので、少しづつ小出しにしていこうかと。Twitterで小出しにしていることの焼き直しではありますが。
ということで、今回は「失敗を許さない」企業文化によって何が起こるのか、という話。
失敗を許さない組織とは。
これが、ザ・古き良き日本企業に典型的なのかどうかはわかりませんけれども。古き良き日本企業にはありがちな気がします。失敗の回数が、出世に響く企業。公務員なんかもそう言われてる気がしますが。
失敗をすると、恫喝される。出世の道が閉ざされる。成功の数よりも失敗率が重視される組織。当然、そういう組織では「恫喝する側」が絶対に正しくなるので、上司の言うことが絶対、という事になっていく。上下関係の厳しさと失敗に対する寛容性は反比例するような気がする。
失敗を恫喝する、というのは上下関係を明確にするための最も簡単で馬鹿らしい手段のひとつだ。
起こる事① 創造性の欠如
失敗を許さない組織、失敗すると恫喝され、詰められるような組織は、当然のように下は萎縮していく。その為、社員は失敗しないような仕事、既存の仕事の延長しかやらなくなる。それがその組織の中では「正しい」行為として浸透していく。結果、新しい仕事が現場から生まれなくなる。想像に難くない。新しい仕事が生まれない会社が時代についていけるはずが当然無い。
起こる事② 創造性を上司が発揮し始める
そうすると、「新しい仕事」というのは恫喝されない側、つまり上司の側がやり始める。必要だからやるのではなく、上司が「仕事できる風に振る舞う」ための手段として、最新のものに飛びつき、検討もロクにしないままにとりあえずやる。部下はそれを批判できないのでやるしかない。結果、意味のない仕事が大量に生まれる。生産性が悪化する。
起こる事③ 上司の意思決定がめちゃくちゃ
新しい仕事は上司しかできない、ということ。逆に言うと、部下、下の方の人は意思決定を一切しない、ということでもある。そういう部下の中から最も失敗しなかった人が出世する。そうするとどうなるか?出世して初めて意思決定を担う事になる。小さな意思決定をしたことの無い人が、突然大きな意思決定を任される。意思決定の批判すらしたことのない人が、突然権力を持つ。合理的な意思決定ができるはずが無い。
起こる事④ 評価も検証もされない
失敗を許されない組織、というのは、逆に言うと成功しか許されない。もっというと、これが成功か失敗かを評価する必要がない。なぜなら全部成功だから。つまり、ひとつの仕事に対し、適切な評価も検証もされず、この仕事は成功でした、以上。で終わり。PDCAという言葉が大好きな日本人ならわかるであろう、Cが欠如しているということが。適切なCheckは失敗できない組織、失敗できない上司にとっては都合が悪い。
起こる事⑤ サービスが継続して育たない
こういう組織において、思いつきでまだやっていない仕事、というのはとりあえずやれば成功する。典型的なのは「うちも何かアプリ作りましょう」。アプリが出来上がればその仕事は成功。0→1は実はそんなに難しくない。だけど、その後継続すると、必ず評価がつきまとう。売上の増減、ユーザー数の増減、評価の増減。上で述べたように、この組織は評価をしたら損をする。だが継続したら評価が必要になる。だから継続をしなければいい。継続しないのがこの組織にとって最適解となる。
起こる事⑥ 失敗をアウトソースする
それでもこの組織は気づき始める。「いっぱい新しい事やってみたけどうまくいかないな」。そうだ、専門家に任せてみよう。アウトソースである。自社に成功させる力が無いので、他社に成功を求める。成功したら俺の手柄、失敗したら外注先のせい。
起こる事⑦ ノウハウが社内に溜まらない
当然、失敗したら「お前らその原因を究明しろ」、成功したら「良かったね」で終わり。なので、成功要因も失敗の原因も当然、自分たちにはわからない。だからノウハウも溜まらない。ただひたすらに外注するだけ。金があるうちは良い、逆に言うと金がなくなったらそこで終わりということでもある。
さて、ざっくりこの1-2ヶ月で学んだ、古い組織、だめな組織について。ちょっと原因と結果の因果構造が雑ではあるんだけど、(恫喝の文化と失敗を許さない文化はどっちが原因でどっちが結果かはよくわからない)いわゆる古い日本企業に多いのではないかな、と思う。もっというと、50代以上が幅を利かせている企業に多いのではないかな、、、と。
解決策はいくつかあるんだけど、基本的に現場が死んでいるし、現場から上にフィードバックするルートが無いので、ボトムアップでの解決は無理。トップダウンの解決が必要。下から上へのフィードバックが無いというのが致命的。もう一つ重要なのは、評価制度。成功・失敗よりもチャレンジを評価する制度が整っているかどうか。ましてや年功序列なんぞもっての他。トップの意思と制度が整って初めて、これらの改善がなされる。
つまりまあ要するに、この記事に何かの間違いでたまたま辿り着いたような現場の社員は、転職を考えたほうが良い、という事。こういう会社を相手にした仕事は、徹底的に搾取する方法を考えるとうまくいくのではなかろうか。カモにして搾取して潰そうぜ、徹底的に。
【読書記録】読んだけどあんまり書くことが無かった本をざっと紹介だけ、10冊。
あっさり紹介だけ。別に個人的には取り上げてオススメとかはしないですけど結構評判の良い本とかもあるので興味があれば、程度に。
ザ・夏野ワールド。
- 作者: 貴志祐介
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 1999/04/09
- メディア: 文庫
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面白かったです。最近サバイバル系/デスゲーム系の漫画が多い気がするんだけど、小説でデスゲーム読んだの初めてだった。一気に読んでしまった。
登山家栗城史多、3冊目の自伝。課題で読んだんだけど、1冊目2冊目を読んでないので何か情報が足りない気がしている。半分はポエム(悪い意味ではない)。人によっては刺さるフレーズも多いのだろう。個人的にはあまり。写真が綺麗、内容は壮絶、だけど重すぎない。何故この人はこんなにもエネルギッシュなのか、その原点がこの1冊ではよくわからなかったのだけど他の本読めばわかるのかな。
ウェブ時代の音楽進化論 (幻冬舎ルネッサンス新書 も 1-1)
- 作者: 望月寛丈
- 出版社/メーカー: 幻冬舎ルネッサンス
- 発売日: 2010/10/30
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何か家に積んであったんだけど読み切ったのかどうだったのかあまり覚えて無くてもう一回読み直した感じ。結構色んな切り口から音楽文化について考察されていて、定量的な分析みたいなものは無いんだけど結構面白いです。ちょっと古いので時代はこの7年で変わったよなぁと思う部分もあるのだけれど。一つ一つの文をヒントに、ここから深掘りをして分析してみると面白いのかも。
- 作者: ジョージ・オーウェル,高橋和久
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2009/07/18
- メディア: ペーパーバック
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1949年に書かれたSFディストピア。ディストピア小説としてはガリバー旅行記と並んで有名だろうか。ちゃんと読んだこと無かったので読んだ。社会主義/共産主義的な世界が限界まで達した時にどういう世界になるのか、というのが描かれた小説。こっちに載せるべきか単独記事にするべきかは悩んだんだけどまぁ古典だし小説なのでこっちに。戦争こそが安定である、という世界が生まれうる、という考え方がとても興味深いと思う。考察できることはたくさんありそう。
2度目なのでこっちに。改めて読んでみたら今更感あったので、2度読む必要は無いかな、、、という感じ。所謂メディアビジネスを、閲覧者を「仕入れ」て、広告主等に「売る」という見方で語るのは面白いと思う。元リクルートの人だけど、ある意味ではとてもリクルート的な考え方なのかも。
- 作者: ピーター・F・ドラッカー,上田惇生
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2001/12/14
- メディア: 単行本
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古典。書くこと無くはないんだけど、あんま頭に残らないんですよね、ドラッカー先生。日本語でも英語でも読みにくくて。腑に落ちるまで何度か読み返そうと思う。
アンドロイドは電気羊の夢を見るか? (ハヤカワ文庫 SF (229))
- 作者: フィリップ・K・ディック,カバーデザイン:土井宏明(ポジトロン),浅倉久志
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1977/03/01
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これも単独記事にするかどうかは迷ったんだけどこっちに。SFの金字塔というやつでしょうか。人工知能と人間の本質的な違いは何か、という問いかけに対する疑問と答えを持ちかける作品。最近の作品への影響も当然あるのだろうな。
2周目。1周目はこのブログに下書きの残骸だけが残っていた。どちらかというと、転職を考えている人向けかも。エンジニア等、理系専門職の人向けの本。専門性を軸に、時代に合わせて柔軟に行きていきましょう、という話。
情報は1冊のノートにまとめなさい 100円でつくる万能「情報整理ノート」 (Nanaブックス)
- 作者: 奥野宣之
- 出版社/メーカー: ナナ・コーポレート・コミュニケーション
- 発売日: 2008/03/12
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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ちょっと古い本。学生時代に買ったっきり積まれていた。今の時代にはあまり合わなそう。電子ファイルの管理ができない。結局この手の仕事術は、自分が良い、合う方法を見つけられるかどうかだよね。とにかくメモを残そう、というのと、メモを検索できるようにしよう、と書いてあるだけではある。EVERNOTEとかで似たような事できないかなあ。
以上、とりあえず10冊。読んだよ、っていうだけの記事でした。