データエンハンサーの戯言置き場

データサイエンティストを挫折した人がデータとアナリシスのエンハンスメントについて考える

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自己紹介

某インターネット企業にてデータアナリストを経てデータサイエンティストになれず、データエンハンサー(自称)、アナリシスエンハンサー(自称)をやっております。 ブログの内容は個人の意見・見解であり、所属組織の意見・見解とは異なる事があります。




データエンハンサーとは

自称です。

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↓それでは最新記事をどうぞ↓



【専門性の身につけ方】あなたが本を出版するならそのタイトルはなんですか?

専門性を身につけるなら本を書けって楽天大学の仲山さんが言ってた。

 

あなたが本を出版するなら、そのタイトルはなんですか?

 

 

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導入

よく、若いうちは専門性を身に付けろとかって言われるけど、専門性って言われてもよくわからんよね。面接しててもよく言うんですよみんな、猫も杓子も。「専門性を身に着けたい」って。特にデータ分析みたいな業界で働いてるとみんな言う。

 

でも実際、じゃあそんなにみんな専門性高く働いてるの?っていうと別にそんな事もないなあと思うんですよね。社内を見渡すと。意外とただ業務を頑張っていても「専門性」のレベルにまで達しないというか。「社外に出して恥ずかしくない人材」というレベルには達してないなあと思うんですよね。中々そのレベルにまでいかない。ということで今日はそんな話。

 

本題:専門性とはなにか。

 

昔、リニューアル前にこのブログでも取り上げたことのある、楽天大学学長の仲山さんという方が、専門性とはなにかっていう問いに、

「本を書くことじゃないですかね」

ってさらっと答えてて。これがすごく心に残っているんです。

 

 

↓昔書いた読書記録

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仲山さんのが当時聞いた講演で言っていたのは、本を出版するって薄い新書でも20万文字くらい書かないといけないから、かなり大変だよ、と。

 

20万文字って原稿用紙で500枚分、PPT資料にしたらスライド1000枚とかになるんじゃないですかね。そのボリューム感のものをいきなり出せって言われてもまあ無理じゃないですか。無理。あ、無理だって思ったんですよ、当時。

(余談だけどここに挑戦するためにブログのリニューアルとかしたんだけどこの話はまた今度)

 

ということで、ここに至るまでのステップアップを考えてみてます、というのが今日の最初の図につながるわけです。

 

LEVEL1-2 社内で勉強会をしろ

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まず最初のステップは小さくてもいいのでまず自分が勉強会をするならどういう事が話せるか、というネタ作りから。このネタは、結構普通に仕事を頑張ってれば多少は出てくるはず。

チームとか会社とか、所属によって規模が違うのでまあ内輪でしゃべるのか、知らない人を交ぜるのか、くらいの温度感で分ければいいと思います。ベンチャーとかだとほぼ同じ意味になっちゃうかも。

ポイントは、「社内なのでまあ社外秘だけどそのまま出してもいいか」っていうレベルってこと。

 

 

基本的に日々の業務で、今回の案件ではどういう新しい事をするかという事を意識しながら仕事をこなしていくと、それだけで話すネタは一気に増えると思います。

更にいうと、こういう「新しい事」のネタを集めるために、日々の情報収集は欠かさないのが大事。(日々の情報収集については長くなるのでまた今度。)

 

例えば今まで使ったこと無いライブラリを使ってみるとか、使ったことないデータを使ってみるとかが分析官だとやりやすいかも。

そうじゃなくても、いつもと違うPPTの見せ方してみるとか、いつもと違う色使いをしてみるだけでも発見はある。そういう細かい発見を積み重ねられるか、というところでまずは差が出始める。

 

こういうところから30分のプレゼン資料を作る、というのはそんなに難しくないはずで、意識するかしないかの問題。これができないならまずインプット量が足りていないか、インプットの質が悪いと思うと良い。

 

LEVEL 3-4

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このフェーズに行き着くまでに一つ、抽象化のハードルがある。大抵の場合、事例には社外秘が含まれる事は多くて、中々おいそれと共有できないものは多い。

これを無理やり出しちゃうっていう手はあるがバレると怒られるので、抽象化をする。

 

抽象化することにはいくつかメリットがあるんだけど、一番のメリットは他に応用できるようになる、ということ。

事例は所詮事例でしかないので、それはn=1のデータでしかない。それを他で応用するためには、抽象化して事例から考え方に昇華させる必要がある。この考え方の引き出しを如何に増やせるか、というのがこのLEVEL3-4のフェーズ。

 

別にLEVEL4は大学の講義である必要は無いんだけど。でもまあ60-90分一人で喋ろうと思ったら1テーマだと結構きついんですよ。ましてや「やってみた」とかいうレベルだと講義にはならないですからね、ちゃんとした知見にしていかないといけない。という意味で大学の講義みたいなものをイメージしてもらうのが良いかと。

修士論文だとLEVEL3止まりか、厚みによってはLEVEL4くらいかな。

 

「こういう施策を打ちました」というのはただの事例だけど、ここから「こういう施策を成功させるためにはこういう法則があります」というところまでに昇華する。

抽象化はパターン化と置き換えてもいいが、要するに単なる一事例を超えた知見が無いと、社外に出せるレベルに行き着かない。単なる事例共有会を超える必要がある。

 

LEVEL 5

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ここまで来るとあとは物量。こういう抽象化された知見の引き出しがいくつ作れるか、という話になってくる。一つの領域、一つのテーマにおいて知見の引き出しが20万文字に達するレベルにまで広く深くしていく。ここまで行き着くには多分広さと深さの両方が必要。どっちかとかじゃない。

 

20万文字というのは原稿用紙で500枚、PPTなら1000枚、大学の講義なら1クール。そういうレベルの知見が揃うと、本にできるレベル。ちなみにこのブログがだいたい2000文字強くらいなので、このブログ記事なら100記事分くらい。

 

2000文字書くのは正直そんなに辛くないのだけれど、100記事分のテーマを集められるか、というとかなりしんどい。けどそのくらいまで知見がたまらないと「専門性」とは言えないという事でもある。大学教授ってすごい。

 

一応物量が必要じゃない例外もあるとも思ってて、例えば査読付きの博士論文とか。多分20万文字の作文書くよりも辛いと思うけど。修士論文レベルだとちょっと弱いですよね、このレベルだと。

 

 

 

まとめ

ということで、自分も本出してるわけじゃないので後半は想像。でも20万文字書けって言ってたから20万文字書くのに今年は挑戦してみようかなって思ってたりします。

 

いずれにせよ、

「自分が本を出すならどういうタイトルになるか」

というのを意識しながら仕事をするというのは、専門性を身につけるにあたってはかなり有効な問いなのではないかと思ってます。

研究テーマを決めるというのも近いかもしれない。「テーマ」が無いと専門性って言わないレベルのものしか身につかない気がする。

 

そしてここまでいっても、最初の楽天大学仲山さんのいう加減乗除の2つ目、減のフェーズである、と。キャリアの先はどこまでも続いているなぁ。

 

 

ということで「専門性」という言葉の解像度を上げるための一つの考え方として。今日はそんなところでした。