【読書記録】ひとつ上のチーム。
上司に薦められて読んだ本。
著者はコピーライターの眞木準さん。とその周辺の十数人。何人だ。18人。眞木さん+18人がそれぞれ、チームワークというものをどう捉え、どう実行しているかということを綴った本。著者がコピーライタということで、他の18人も全員広告代理店を中心とした広告関係者。
ひとつ上のチームというタイトルがついてるけど、中身はひとつ上のチームを目指すにはどうしたらいいか、というHow to的なものではなく、それぞれが「私はこう実施しています」という体験談を綴ったもの。組織論みたいな本はいくつか読んだけど、実は広告&ITの仕事をしている割に、広告の人たちの組織論を読んだのが初めてだ、ということに読み始めてから気づいた。
僕がこの本を読んで一番不思議だったというか、面白いというか、他の組織本とは一線を画していると思ったのは、売上が上がった、とか株価が上がった、とか、そういう定量的な評価に関するものが一切出てこないこと。一方で、「良いものができた」「賞をとった」「クライアントが喜んだ」とかの定性的で曖昧な評価が並んでいるところ。
広告という業種がいまいち売上評価とか株価評価みたいなポイントに繋がりにくいところはあるのだけれど、あえてそうしているのかそうなってしまったのか、ちょっと不思議なところ。
同時に、かなり「クリエイエィビティ」を重視するチーム論であるというのも特徴的。チームを管理して成果を上げる、というよりも、個々人のクリエイティビティをどうやって発揮し、専門性を発揮させるためどういう工夫をしているのか、というのがそれぞれの角度から書かれている。
理屈を重視するけど、理屈じゃないアーティスティックな部分も同じくらい重視する広告という業種だからこその組織論なのだけれど、こういうチーム作りもあるというのは他業種でも多分参考になるはず。
Teal組織でいうところのかなりティールにちかいグリーンといった感じだと思う。チームが家族っぽいところとか、組織の階層構造が一切見えてこないところとか。勤務時間とか全然管理されてなさそう。だけど大手のクライアントの案件で成果はちゃんと上げている。
上司のおすすめ理由はこういうクリエイティブ重視な組織運営が「弊社にあってそうだから」ということなのだけれど、かなり高度な組織運営でもあって、やる気のない人、無能とか自分で仕事を作り出せないタイプの人にはめちゃくちゃ居づらいチーム論でもあるので運用は難しそう。精鋭以外を入れられない。大手代理店だと精鋭以外も当然混ざるので、ここまでうまい運用にはならないところもあるのだろうな。
良い本でした。