【読書記録】ティール組織
読んだのは結構前なんだけど書くのをサボっていた。
結構話題になった本なので読んでみた次第。タイトルの通り、組織論。「次世代型組織」というものを解析した本。分析、という感じではなく、あくまで解析と考察。
読んでみてまず思ったのは、組織論の名著、ビジョナリー・カンパニーにすごく似たテイストだな、と思ったんですよ。で、これを読んだあとにビジョナリー・カンパニーの方も読み返してみた次第。
まずティール組織とはなにかというと、
こういう記事もあったりするのであえてここでは解説したりしませんが。組織の進化を7段階で整理してみたらその一番上がティール組織だった、という感じ。
ここで勘違いしてはいけない、というか、この本のユニークなところは、進化の段階の一番上だから一番利益が高いとか、そういう話ではないということ。前述のビジョナリー・カンパニーはすごく良くできた組織論なのだけれど、その根本のところは株価+アンケートで測っていて、株価が高く継続して発展し続ける組織について分析している。
一方でこのティール組織はなにかの指標で測るものではなく、もっと内面的というか、それが本当に良いんだっけ、という根拠にはちょっと乏しい。けれど、顧客に対して価値が高く、従業員の幸福度も高く、結果として利益もついてくるような。そういう組織について語った本。
個人的に印象に残っているのはオランダの地域医療会社、ビュートゾルフのエピソード。きっちり作業分析をし、工学的なアプローチで効率化していった医療会社よりも、あえてそういったアプローチを捨ててもっと人間的、内面的なアプローチを重視していったら結果的に業績も上がり顧客満足度も従業員満足度も高くなっていった、という。
僕は学生時代経営工学というやつをやっていて、一瞬医療業務の効率化の研究に手をだしたこともあったので。あえてそういう工学的なアプローチと逆をいくことで成果を上げる、という事例があったのはすごく腑に落ちたところでもあり。やっぱりあの大学院で学んだことは決して無駄ではなかったんだけど、やっぱ古いよなあというのが確認できたのが良かった。
この手の話は形こそ異なるけれど、遠藤先生の現場論とか
中竹監督のフォロワーシップとか
新版 リーダーシップからフォロワーシップへ カリスマリーダー不要の組織づくりとは
- 作者: 中竹竜二
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- 発売日: 2018/01/18
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こういう話の延長線上というか、もっと煮詰めていったような、そういうイメージも結構強いですね。
経営の効率化というのは、一昔前、フレデリック・テイラー以降の科学的アプローチでは人間を高度な設備のように扱っていたのだけれど。こういう人権の切り売りみたいな使い方はすべて機械に置き換えられていくわけで。今後はいかに人間を人間として、創造的に使えるか、というのが肝になっているのだろうな。
思うところはたくさんあるのだけれど長くなるのでこのあたりで。