データエンハンサーの戯言置き場

データサイエンティストを挫折した人がデータとアナリシスのエンハンスメントについて考える

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自己紹介

某インターネット企業にてデータアナリストを経てデータサイエンティストになれず、データエンハンサー(自称)、アナリシスエンハンサー(自称)をやっております。 ブログの内容は個人の意見・見解であり、所属組織の意見・見解とは異なる事があります。




データエンハンサーとは

自称です。

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【読書記録】ティール組織

 

ティール組織――マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現

ティール組織――マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現

 

 読んだのは結構前なんだけど書くのをサボっていた。

 

結構話題になった本なので読んでみた次第。タイトルの通り、組織論。「次世代型組織」というものを解析した本。分析、という感じではなく、あくまで解析と考察。

 

読んでみてまず思ったのは、組織論の名著、ビジョナリー・カンパニーにすごく似たテイストだな、と思ったんですよ。で、これを読んだあとにビジョナリー・カンパニーの方も読み返してみた次第。

 

まずティール組織とはなにかというと、

mirai.doda.jp

こういう記事もあったりするのであえてここでは解説したりしませんが。組織の進化を7段階で整理してみたらその一番上がティール組織だった、という感じ。

 

ここで勘違いしてはいけない、というか、この本のユニークなところは、進化の段階の一番上だから一番利益が高いとか、そういう話ではないということ。前述のビジョナリー・カンパニーはすごく良くできた組織論なのだけれど、その根本のところは株価+アンケートで測っていて、株価が高く継続して発展し続ける組織について分析している。

 

一方でこのティール組織はなにかの指標で測るものではなく、もっと内面的というか、それが本当に良いんだっけ、という根拠にはちょっと乏しい。けれど、顧客に対して価値が高く、従業員の幸福度も高く、結果として利益もついてくるような。そういう組織について語った本。

 

個人的に印象に残っているのはオランダの地域医療会社、ビュートゾルフのエピソード。きっちり作業分析をし、工学的なアプローチで効率化していった医療会社よりも、あえてそういったアプローチを捨ててもっと人間的、内面的なアプローチを重視していったら結果的に業績も上がり顧客満足度従業員満足度も高くなっていった、という。

 

僕は学生時代経営工学というやつをやっていて、一瞬医療業務の効率化の研究に手をだしたこともあったので。あえてそういう工学的なアプローチと逆をいくことで成果を上げる、という事例があったのはすごく腑に落ちたところでもあり。やっぱりあの大学院で学んだことは決して無駄ではなかったんだけど、やっぱ古いよなあというのが確認できたのが良かった。

 

この手の話は形こそ異なるけれど、遠藤先生の現場論とか

現場論: 「非凡な現場」をつくる論理と実践

現場論: 「非凡な現場」をつくる論理と実践

 

 中竹監督のフォロワーシップとか

新版 リーダーシップからフォロワーシップへ カリスマリーダー不要の組織づくりとは

新版 リーダーシップからフォロワーシップへ カリスマリーダー不要の組織づくりとは

 

 こういう話の延長線上というか、もっと煮詰めていったような、そういうイメージも結構強いですね。

 

経営の効率化というのは、一昔前、フレデリック・テイラー以降の科学的アプローチでは人間を高度な設備のように扱っていたのだけれど。こういう人権の切り売りみたいな使い方はすべて機械に置き換えられていくわけで。今後はいかに人間を人間として、創造的に使えるか、というのが肝になっているのだろうな。

 

思うところはたくさんあるのだけれど長くなるのでこのあたりで。

【読書記録】お金2.0 新しい経済のルールと生き方

 

お金2.0 新しい経済のルールと生き方 (NewsPicks Book)

お金2.0 新しい経済のルールと生き方 (NewsPicks Book)

 

 はい、連続更新です。

 

タップス社長の佐藤さんの本。なんかパッと見で、仮想通貨とブロックチェーンが中心の話なのかな、とか思って買ったんだけど。中身は全然違った。そんなレベルじゃない。目からウロコがボロボロ落ちてくる系の本でした。

 

仮想通貨の話は当然出てくるんだけどそういうレベルの話ではなく、あくまで重点は”新しい経済”の話。多分普通の人は、経済とはなにか、通貨とはなにか、なんて事はあまり考えた事無いと思うのだけれど。そのあたりをひたすらに深掘りした本。ポスト資本主義。

 

佐藤さん自身はこないだも、仮想地球EXAというよくわからない(本当に僕の頭が悪すぎて理解が追いついてない)サービスをやっていたりしたのだけれど。要は本当に社会の向こう側というか。新しい社会システムを模索&実験している人らしい。タイムバンクとかも。

 

読んでいて目からウロコだったポイントは、資本主義社会における通貨/株式の価格と現実の価値が乖離している、というところ。たしかになあと。(価値とはなにか、を考え始めるとそれはそれで気が遠くなる話だ。)その前置きをした上で、では資本主義に代わる新たな社会システムはなにかという話。現実として、全く価値の生まれていない仮想通貨に変な価格がついたりとかするのは歪んでいるよね。

 

もう一つは、政治には経済性が求められ、企業には公益性が求められている、という現状の話。政治と経済の境目がどんどん曖昧になっている。これも確かになあと。税金の無駄遣いに対して現代人はすごく敏感だし、一方で企業にはCSRが求められる時代でもある。この動きはきっと不可逆なのだろう。

 

実際に、"評価経済"とかみたいな資本主義とは離れた新しい経済システムが現実になっていたりする中で、こういう社会システム、特に経済そのものの変化というのはよく考えておかないといけないなあと思うのでした。

 

この本を読み終わってからティール組織という本を読んでいるのだけれど、これもすごく、新しい経済に寄り添った話なのでまたセットで読むと良さそう。ティール組織も近日中には記録を書きます。

【読書記録】MBAより簡単で英語より大切な決算を読む習慣

 

MBAより簡単で英語より大切な決算を読む習慣

MBAより簡単で英語より大切な決算を読む習慣

 

2ヶ月も更新をサボってしまったけど本は読み続けてます。

 

さて、シバタナオキさんNaoki Shibata (@shibataism) | Twitter はずっと昔からTwitterフォローしてるんだけど、元楽天執行役員の結構有名人だと思う。最近はnote/ヤフーニュース個人あたりで決算を読めるようになるノートを書いてたりして勉強になるのです。

 

で、この本はそのnoteの連載をまとめたもの(だと思ってる)なのだけれど、主にネット系企業の決算書の読み方を解説している本。決算書のどこに注目すべきなのか、がよくわかる。

 

決算書というのは、その会社がどこをビジネスの根幹にしているか、という数字が必ず書いてあって、いわゆるKPIというやつだけれど、その会社が何を見ながら戦略/戦術を決めているのか、というのがわかるから特に競合の決算書はちゃんと読もうね、という話。

 

決算書と言ってもあの細かい字で書かれた見るだけで眠くなるやつじゃなくて、プレゼン用資料(PPT)の方。PPTを見るだけで、その会社が売上というものをどう分解して考えているのか、その数字をどうやってあげようとしているのか、といった戦い方は結構見えてくる。

 

どちらかというと、読み方に工夫がある、というよりも、こんなに情報豊富なんだからみんなちゃんと読もうぜ、読む習慣つけようぜ、という趣旨の本です。すごく特別な見方をしているわけではないので、いや決算読むのとか当然いつもやってますよ、っていう人は別に読まなくてもいいのかもしれない。