【読書記録】「原因と結果」の経済学
薦められたので読んでみましたやつ。
データ分析の入門書としてはとても良いやつ、という感じです。著者は教育分析の専門家の中室先生と医療分析の専門家の津川先生(@yusuke_tsugawa)。統計的因果推論をちゃんと勉強しようと思っていたところ、これを読んどくといいよ、とTwitter上で薦められ、そのやり取りを津川先生にふぁぼられた挙句フォローまでしていただいたので読まざるをえなくなったのが最初。
中身は数字とか計算のほとんどない、どちらかというとグラフの読み方としてこう読むのが正しい、というのが書かれている感じ。「分析とは比較である」というのはヤフーの安宅さん(@kaz_ataka)の著書/記事には高確率で出て来る言葉だけれど(これとかこれとか)、じゃあ比較とはどういうことか、何と何をどう比較するのが正しいのか?がとてもわかりやすく解説されている。
実際に分析の現場にいると、この何と何をどう比較するかという「分析設計」の部分というのは結構素養に差があるといいますか。ちゃんと論理立てて組み立てられる人とそうじゃない人の差って思っている以上にあるんですよね。その「そうじゃない人」をある一定のレベルに押し上げるために、結構良い本なのではないかなぁと思います。
逆に、ある程度そういう現場で活躍している人からすると当たり前というか、物足りなさみたいなものはあるかもしれない。ので、まあ確認程度に流し読む、という読み方になるのかもしれない。自分的には自分の分析の正しさを確認しつつ、これをどうやって周りに伝えるかを考える本になりましたね。
最近色んな本読んでて思ってるんだけどやっぱちゃんとした学者さんの書いた本は質が高いので読んでて勉強になることは多くて良いですね。良書です。
【読書記録】データサイエンス超入門
データサイエンス超入門 ビジネスで役立つ「統計学」の本当の活かし方
- 作者: 工藤卓哉,保科学世
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2013/11/07
- メディア: 単行本
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読みました。あんまりオススメはしないやつ、って感じですね。
作者はアクセンチュア等々でデータサイエンスを仕事にしていた人。感想を一言で言うなら、「帯に短し襷に長し」という感じ。あえて悪い言い方をするなら、「学者の真似事をしているビジネスパーソンが書いた本」。
データサイエンス、統計、機械学習といったバズワード的になっているものを体系的に整理しようとしているんだけれど。そして実際に整理されているのだけれど。この体系が、どこかの組織で作られたものの引用なのか、「アクセンチュアではこう考えている」なのか、「筆者の持論」なのか。その辺が明確にされていないので、どこからどこまでを信頼していいのか、があまりよくわからない感じ。
あと、突然論理展開が超飛躍するところがあって、とてもポエミー。サイエンスを語るはずの本で論理の飛躍は致命的な気がするけどね。持論を語る本なのか、事例を語る本なのか、研究結果を語る本なのか、その辺がはっきりしないのでとてももったいないという感じ。きっと何かを紹介するのが目的なのだけれど、何を紹介したいのかわからないのですよね。なのであまりオススメはしない感じ。
一方で、統計的な"手法"とかは網羅されているようにも見えるので、この中から手法と事例だけかいつまんで学べるとこを探す、みたいな読み方をするのが良いのかなーと思います。入門書的なものを読んだのは初めてだったので他のと比較しようが無いんだけど、入門書のようなものを書くのは難しいのかもしれない。データサイエンスの入門って統計学の応用とかになっちゃいそうな気もするし。
いずれにせよ、もう少しいい本がきっとあるはずなので探したい所存。
【読書記録】一流の人はなぜそこまで、雑談にこだわるのか
一流の人はなぜそこまで、雑談にこだわるのか? 一流のこだわりシリーズ
- 作者: 小川晋平,俣野成敏
- 出版社/メーカー: クロスメディア・パブリッシング(インプレス)
- 発売日: 2015/10/13
- メディア: Kindle版
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なんか前に、「雑談」って苦手なんですよねっていう話を社内アカデミーでしたことがあるんだけど。そのときに、お前勉強したら雑談くらい出来んじゃない?って言われた事があって、ちょっと読んでみようかな、と思って買ってみたやつ。
一流の人の雑談、というのがタイトルなわけだけど、中身は「俺流コミュニケーション術」みたいな感じ。なので、要するに俺が流だからみんな俺のコミュニケーション真似しろよ、というところから入ってるのがなんとも言えない気持ちになるやつ。
意味のある雑談とは何か、というのが冒頭に書かれていて、なんか一瞬納得したんだけど一方で雑談の定義がわからなくなって、最後まで迷子だった。会議以外の対面コミュニケーションを全て雑談と置いて、そのコミュニケーションを意味のあるものにしていくにはどうしたらいいか、というものを書き連ねている感じ。
対象が割りと営業寄りで、営業テクニック集、というようにも見える。あまり刺さらなかったのは自分が営業じゃないからなのか。よくからんけど。
ビジョナリーカンパニーを読んで以来、分析に対する視線が厳し目になってるんだと思うけど。このタイトルだっから一流の人とは誰か、雑談とは何か、という定義を明確にした上で一流と二流の違いをちゃんと比較して欲しかった。単なる自分流仕事術の主語を大きくしたタイトルをつけるのはよくあることだけど。マッキンゼー式○○とか。理系的○○とか。まぁそういう類のやつですよね。知ってた。
単なる雑談的なコミュニケーションから仕事を生み出せることもあるよ、的な、軽い気持ちで読むぶんにはいいんじゃないでしょうか。バイブルにするような本ではないかな。Kindleで買ったんだけど、紙で買ってたら読んで即売ってると思う。こういう釣りタイトル系の本はやはり当たりが少ないですね。