データエンハンサーの戯言置き場

データサイエンティストを挫折した人がデータとアナリシスのエンハンスメントについて考える

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このページは初めての方に向けた自己紹介とその他諸々のページです。よしなに。




自己紹介

某インターネット企業にてデータアナリストを経てデータサイエンティストになれず、データエンハンサー(自称)、アナリシスエンハンサー(自称)をやっております。 ブログの内容は個人の意見・見解であり、所属組織の意見・見解とは異なる事があります。




データエンハンサーとは

自称です。

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【視聴記録】イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密

 

 SFとかと違うんだけど良い映画だったので。

 

大学以降でコンピュータの授業を受けていれば、アラン・チューリングの名前を聞いたことのある人はたくさんいるだろう、コンピュータの生みの親のドキュメンタリー映画。

個人的には、アラン・チューリングの名前もチューリングマシンチューリングテストといったチューリングの名前が冠されたIT用語(?)は知っていたし、チューリングがITの世界に対し、重要な役割を担っていたのは知っていたのだけれど。その背景やチューリングの人間性については全く知らなかったのでとてもおもしろかったです。

 

チューリング自身の重要な功績はいくつもあるのだけれど、その中の一つ。第二次大戦中の暗号解読にフォーカスが当てられている。チューリングは英国人であり、敵国のヒトラー率いる独軍の暗号解読を任される。その変人ぶりと、中々成果に結びつかなかったのもあり、何度もの解雇の危機を乗り越えながらも暗号解読とそれを通じた戦争への貢献をしていく物語。

 

暗号解読という機密性の高い任務ゆえに、世間にその功績が認められたのはその死後であったというあたりや、当時法律で処罰の対象だった同性愛者だったあたりもとても"物語性"の高い人生だなぁ、と。この2時間の映画の中では語りきれない功績のたくさんある人で、wikipedia読んでるだけでもワクワクする。

 

ドキュメンタリー映画を見たのは久々だったのだけど、良い映画だったなぁと。

【読書記録】FAILING FAST マリッサ・メイヤーとヤフーの闘争

 

FAILING FAST マリッサ・メイヤーとヤフーの闘争

FAILING FAST マリッサ・メイヤーとヤフーの闘争

 

 2冊目/2017年。思っていたペースほど読めないなぁやっぱり。

 

米ヤフーの現CEO、Googleの元幹部マリッサ・メイヤーを主人公に、マリッサとヤフーの歴史を辿った本。原題は"MARRISSA MAYER AND THE FIGHT TO SAVE YAHOO!"。邦題はここに"FAILING FAST"という言葉が。この言葉自体はマリッサの信念のような言葉。座右の銘のような。本の中では、"失敗するなら早いほうが良い"という訳を与えられている。

 

この本自体はタイトルから想像したのとはちょっと違って、思ったほどマリッサマリッサしていない。マリッサ本人の伝記的なストーリーと、ヤフーの物語が同時に進行していき、最後の一章で混ざり合うような感じ。

 

前回ビジョナリー・カンパニーを読んだので、ビジョナリー・カンパニーの要件をヤフーが満たすのか、という点を考えながら読んでみたのだけど。ヤフーにはビジョナリー・カンパニーに必須の経営理念も無ければ、従業員を活かす仕組みについても書いておらず。合わせて、妙な納得感がありました。

 

ヤフーの物語だけ追うと本当に、ヤフーをどういう会社にしたいのか、という理念はマリッサが就任するまで出てこず、メディア企業となるべきか、テクノロジー企業となるべきか、ずっとその狭間で揺れている。従業員についての話題も、マリッサがFYI(全社vsマリッサの質問会)や、QPR(従業員評価制度)を導入するまで、つまり本の後半部分までほとんど触れられない。

一方で、マリッサの話でもあるので当然Googleの話も出てくるのだけれど、Googleのエンジニアの話は初期から結構出てきたりする。この1冊の中でそういう、GoogleYahoo!という同時期にスタートした2社の違いがありありと見えてくるのは非常に興味深いな、という感想。

 

もう一つ感じたのは、この米ヤフーの失敗からYahoo!JAPANの方はとても学んでいるのだな、という感じがすごいする。マリッサが就任すると同時に米ヤフーではリモートワークを禁止する令が出ているが、一方で日ヤフーでは最近話題の週休3日も含め、働き方改革にかなり力を入れられている。米ヤフーの方針が全く定まらなかったのに対し、日ヤフーではメディアという自覚による宣言文を出していたり。

 

Yahoo!JAPANはじめ、米以外のヤフーに対する言及は中ヤフーの失敗くらいにしか触れられていないのだけど、自分の手元にある色々な情報と組み合わせると、見方が結構変わるなぁというのを強く自覚した本でありました。そういう意味で個人的にはとても新鮮だったな、と。それを抜きにしても、良質なドキュメンタリーなのではないかな、と。ベライゾンの買収問題が落着したら、この件も含めた続編が読みたいですね。

【読書記録?】AIの遺電子

 

 基本的に漫画とか映画とかの紹介は、数を絞る方向でいるんですけど。これはちょっと別格というか、やっぱり気になるものなので書きます。

 

こないだ、イヴの時間 という映画を紹介しましたけど。同じようなジャンルで、AI/人工知能/アンドロイド/ヒューマノイドといったテクノロジーが存在する世界の日常を描いた作品。イヴの時間が、"強い"人工知能が存在する一方、その人工知能はあくまで人間の道具に過ぎないのに対し、AIの遺電子の世界では、人工知能に人権が与えられ、法律でその能力や使いみちを制限されているような世界観。

 

イヴの時間 ではアンドロイドに人権が与えられていないのに対し、AIの遺電子では一部が認められているあたり、イヴの時間のちょっと後の世界、というようにも見える。

 

中身はと言うと、人工知能が発展すると、人間は現代とは違う悩みを持つようになり、AIはAIの悩みを持つようになる。その色々な悩みを、1話完結で、解決したり、解決できなかったり。そういう話。

 

個人的にこの作品が面白いと思うのは、人工知能にもいくつもの種類があって。人間と同じような見た目で同じように活動する"ヒューマノイド"や、"プログラミングされた"会話能力だけがあるぬいぐるみとか、人間と同じような見た目で同じように活動するけど自分の意思を持たない"ロボット"とか。そういう、知能や見た目による微妙な差を、十数ページの物語として簡潔に表現しているのがとても印象的。

 

人格のバックアップは許容されるべきか、ロボットの五感はどれだけ人間と近づくべきか、人間は人間に近いものにどのような感情を抱くのか。SFスーパーバトルものとか、SF大冒険譚とかと違う、近未来の日常における倫理の物語は色々な学びと疑問を与えてくれる気がしますね。